本日、連載を開始して5冊目となります「ダンシン Vol.6」が発売となりました!
今回の特集は「膝」です。
「膝」と一括りにしても、扱いがとても難しい体の部分ですので、膝をいじるのではなく、膝の前後、すなわち太ももと脹脛、そして足の指と足裏から膝を守る為のマッサージやエクササイズを今回はご紹介しています。
成長期の男の子は、身長の伸びと体重の増加に加え、レッスン量が増えること、ジャンプ系の技、回転も数多く自主練を含め行うこと、そして学校においてスポーツ系の部活動などでもジャンプ系の競技、中腰になる競技を行う機会が増えることなどにより、膝の負担が増えていきます。
僕自身も中学時代にバレーボール部に所属し、むやみやたらにジャンプばかりしていたせいで、オスグッドになり、ジャイロキネシスを始める30歳を過ぎるまで痛みを抱えていました。
正しい身体の使い方を知ることはもちろん、そのことに少しでも興味を持つことで、身体の負担が減り、怪我の予防になるだけでなく、着実な上達、そして長く踊り、身体を動かしていけるようにもなりますので、日々のレッスン、そして健やかな日常生活を送る上でのヒントになればと願っております。
今回DVDに収録されていますエクササイズは、大きく動く為、細かいポイントを掴むのが少し難しいので、文章のみではありますが、解説を掲載しておきます。
こちらもエクササイズの際のヒントとしてご覧ください。
引き続き、バレエを愛する皆様の健康のお手伝いが出来たらと心より願っております。
ダンシン Vol.6 DVD収録エクササイズ解説
【強い土台の為の足裏のエクササイズ】
テニスボール、またはゴルフボールなどをルルベの時に床に触れる足裏の付け根の少し下のところに置きセットします。
ボールを親指側からも、小指側からも包み込むように力を入れいきましょう。
足の指だけで包むのではなく、足の指のもっと根元の部分、ボールが触れているところから長く使いましょう。
それを何回かエクササイズした後は、しっかり足裏、足指でボールを包んだまま、ボールを前後にスライドしていきます。
どの位置でも指が緩んでいかないようボールを包んだ状態をキープして行いましょう。
【強い土台の為の足指のエクササイズ】
ここでも床をしっかり掴み立つ、または足裏のアーチの為の強い土台作りのエクササイズを行います。
最初は「パーとグー」です。
まずは全部の指をしっかりと「パー」に、そして床に下ろす際は足指が曲がらないようよく広げながら床に置きます。
「ぐー」も足指が曲がらないように注意し、手で言うところのくるぶしの部分をしっかり出しながら、床を掴んでいきます。
「チョキ」
親指と小指のエクササイズの為の準備運動。
まずはシンプルに親指下のチョキ、上のチョキが出来るか試してみましょう。
親指を出来るだけ遠くに離しながら行えるとさらに良いです。
「親指&小指①」
土踏まずを上げ、強い土台で立つ為に必要な足裏の筋肉を鍛えていきます。
親指だけ下、小指だけ下、さらに両指とも遠くに離しながら床を掴んでいけるよう練習してみましょう。
「親指&小指②」
①で練習したものをさらに難しくしていきます。
親指だけで床を掴み、そのままの状態をキープしたまま、小指で床を掴みます。
真ん中3本の指は上に上げ続けてください。
また、親指、小指とも遠くに離しながら行えると良いです。
特に4番ドゥミプリエの時に後ろの足の小指側が浮きますが、それに効くエクササイズでもあります。
「足指鍵盤」
最後は足パーの状態から小指側から順々に床を掴んでいき、最後は親指を人差し指に触れないよう横にも遠く離しながら床を掴むエクササイズです。
足裏の筋肉を強くすると共に、縮こまりがちな指をしっかり広げ伸ばすこと、強い土台作りを行いましょう。
【壁スクワット】
スクワットは日常生活における椅子から立つ座ると言った動作です。
バレエダンサーは立ち姿勢やプリエでお尻を出す動きを制限されている為、日常生活においても股関節を折ることを忘れがちです。
股関節が折れないと、膝のみの運動になってしまい、立ったり座ったりする時に体重が膝にかかり、身体の負担が増え、膝を痛める原因にも繋がります。
また、スクワットには順序があり、①股関節、②膝の順に曲げていきますが、その順序が逆になっている方も多いです。
この運動では壁を前にしてスクワットをすることで、身体を動かす順序の確認と股関節をしっかり折ること、膝を前に出さないでスクワット出来るよう練習していきます。
呼吸は下に下りる時に吸って、上に上がる時に吐きます。
立ち上がった時はしっかり息を吐くことでお腹を締め、さらに脚とお尻の付け根の部分も締めましょう。
立ち上がった時に腰が反って、出っ尻の状態のままでいないように。
【壁サイドスクワット】
基本的なポイント、注意点は両足の壁スクワットと同様です。
ただし、今回のエクササイズは曲げている片方の脚に体重がかかるので、股関節、膝、つま先を一直線で使えるよう特に注意して行いましょう。
【ふくらはぎメインのストレッチ】
一般的なストレッチですが、ふくらはぎをメインとしています。
一番最初の膝を伸ばしたままのストレッチと膝を曲げて行うストレッチでは伸びる場所が変わりますので、いつどこが伸びているかをチェックしながら行いましょう。
強く伸ばす時は呼吸を吐くことを大切に。
【足指のトレーニング、スクワット、軸脚のストレッチ&バランスエクササイズ】
脚を上げた状態から下に蹴り出し、その勢いの余韻で横に伸ばしていきます。
足を床に着いたら床を足指、足の裏でしっかり掴みます。(常に掴み続ける)
壁スクワットで練習した股関節と膝の関係に注意しながらしっかりギリギリまでスクワットします。
足指、足裏で床をしっかり掴んでいることを確認しながら、素早く軸の移動、そして片脚バランスを行いましょう。
呼吸は最初のポジション、脚を上に上げた時は吸い、脚を蹴り出した時は吐く、2番ポジションで吸い、スクワットポジションで吐く、そして軸の移動時に吸いましょう。
【バックランジ&アラベスク】
膝を上げ、片脚立ちをします。
この時、膝と両手でしっかり押し合うことで、軸脚のストレッチであること、脇、お腹、軸脚を繋げる体幹のトレーニングにもなりますので、膝と手を胸を張った状態でしっかり押し合いましょう。
上げた脚を大きく後ろに置いてランジの姿勢を取ります。
ランジは前脚、後ろ脚の角度が90度×90度になる位置で行いましょう。
パラレル4番(後ろ脚ドゥミ)の時は手は前に、背中は後ろにしっかりと張り、ランジに入る前に手を上に引っ張り引き上げながら下に身体を下ろしていきましょう。
下まで下りたらもう一度軸脚に乗り、膝と手を押し合い強い軸を作ります。
その後、パラレルの4番、前脚はフレックスにして床に着いたら、軸の移動を行いターンアウトしないアラベスクに入ります。
その際、手は親指を上にして手を握り、下から横にしっかりと腕を張ります。
頭から足先まで腰が反ることなく一直線を目指してください。
しっかり股関節が折れていること、膝は軽く曲げ、バランスを取ってみましょう。
バランスを取り終えたらもう一度軸に戻りますが、毎回しっかりと膝と手を押し合い強い軸を作り直しましょう。
呼吸は、最初の膝と手を押し合う時に吐き、パラレル4番で吸って吐くまで、ランジの時に思いっきり吸って伸び、軸に戻った時はまたしっかり吐いて胸は上げつつお腹を締めます。
アラベスクの時は、軸で吐き、脚をついてパラレル4番で吸って吐くまで、アラベスクの時にしっかり吸って身体を張り、軸に戻った時はしっかり吐いて胸は上げつつお腹を締めます。