音楽への理解を深めよう

ダンサーにとって「表現」をするという言葉は身近で遠いものです。

 

表現。

 

何を表現しているのか。

その作品の役なのか、作品の全体なのか、何なのか。

いわゆる表現とするならばその役の心情であるかも知れない。

もし心情であるならそれをどのように表現すれば良いのだろう。

またその役になりきるとはどういうことなのだろう。

作品にはストーリーがある。

ストーリーが進むことで役の心情は変化していく。

何かが起こり、乱れ、何かしらの解決に向かっていくのだけれど、それを表現するには何が必要だろうか。

 

テクニック?

顔芸?

ストーリーや役への深い考察?

 

一つアイデアがあるとしたら、その役の心情は全て音楽が既に表現してくれているということ。

だとするならばあれこれ考えなくてもそこで流れる音楽さえ理解出来ていれば、さらに言うとその音楽を身体で奏でることが出来れば自然に表現されるものだということです。

振付家がその音楽をそこに置いた理由、またはその作曲家がその音楽を作り上げた理由。

そこにある音楽を紐解くことで、ダンサーは肉体を通してその音楽に流れるエネルギーを見るものに伝えることが出来る。

動く動機が音楽にあり、そこにある人物の今を教えてくれる音楽。

音楽がそこにあるのだとしたら、肉体はただそこにあるのではなく、音楽と共にあること。

表現という言葉の前には「音楽」という言葉があることを多くのダンサー達に体感してもらいたい。

音楽が軸にあり、音楽によって進むもの。

それはすべて音楽劇だと思うのです。