子どもとバレエ、教師、トレーナーとしての想い

ジュニアを対象としたクラスで大切にしていることは怪我の予防と知識を付けながら、バレエにおける身体の使い方とつま先、引き上げ、軸に対して徹底的にお伝えすること、また、踊るとは何かということをお伝えしたいという点です。

 

クラシックバレエは早いお子様で3歳くらいから習い始め、プロを目指すとなるとそこから15年もの時間を必要とします。

これは単純にカンパニーに入る平均的な年齢が18歳以上であることからの年数ですが、大切なことはいかにその日まで健康な身体とスタイルを保ちながら技術を身に付けていくかです。

近年はコンクールも多く、またインターネットやスマートフォン等の普及によりプロの技術を目の当たりにする機会や自分自身をビデオに取り見直すことも簡単に出来るようなってきた為、テクニック面でのレベルの向上は著しいものがあります。

ですが、身体の出来上がっていない状態でテクニックを習得する為に繰り返し練習をすること、また、そもそもその年齢でチャレンジするには肉体的負担が大きすぎるもの(早すぎるポワントや技の練習)が原因での怪我がかなり多く見受けられます。

これでは本当にチャレンジするべき18歳までに身体を酷使し過ぎてしまい、プロになってからの怪我はもちろん、やっと手にした留学中や留学直前での怪我など、ダンサー人生において本当に大切なタイミングで大きな怪我をしてそのチャンスを棒に振ってしまうことになります。

甲子園で活躍した球児たちがその後プロになり、怪我で悩まされることと同様ですが、そのような状況を数多く見てきましたし、見ていて想うことはプロになる前に身体を酷使し過ぎです。

もちろんプロになるということは並大抵のことではありませんし、練習はもちろん必要であり、どれだけ練習してもバレエダンサーを目指す人の数のほんの数パーセントの人数しかその夢を叶えることが出来ないことも現実です。

 

そんな中で見ていて想うことは「いかに練習量を減らし、効率良く技を習得していくか」ということです。

練習は時間をかければかける程良いような風潮がありますが、決してそんなことはなく、感覚の掴み方が分からずただ時間をかけてしまっているだけであると考えます。

例えばジャンプやピルエット等の練習をすればする程、身体の負担は増えていきます。

それをケアする為に必要な時間もまた増えていきます。

練習と身体のケアは同じ時間かかるものだと考えてください。

一日24時間しかなく、学校に通いながらバレエ教室に通い稽古に励むお子様はその中で全てをやりくりするには本当に時間が限られています。

まず最初に削られるのが身体のケアにかける時間と睡眠です。

沢山練習してもそこで疲労した身体を修復するにはどちらの時間も必要なのです。

ですので、いかに効率良く練習し、身体の負担や怪我のリスクを減らし、テクニックを習得していくか。

そこが一番大切な18歳を迎えるのに必要なスキルであると考えます。

 

ですのでいかなる年齢であってもバレエに必要な身体の使い方、ホームとなるお教室の先生方が伝えたいけれど伝えられていないこと、プロダンサーの踊りの秘密等に加え、どうのようにすると怪我をするのか、また防げるのか、そして自宅や空き時間で出来る身体のケアの仕方をお伝えしたいと思います。

 

また、バレエダンサーとしてのスキルだけでなく、共に挑戦を続ける仲間が何かで傷付き思い悩んでいる時やバレエを指導する側としてクラシックバレエを多くの方に広める職業に就いた際にも役に立つことを願っています。

 

子ども達、そしてそれを応援したいと願う保護者の皆様の想いにお応え出来ますように。