お散歩

バレエを本格的に始める前

 

22歳くらいの頃からシティバレエ団に入団後まで数年住んでいた木場をお散歩

 

そこに引っ越した時はまだバレエもやっていなくてアルバイトだけの生活を送っていました

 

風呂無し共同トイレの4畳半、家賃は2万5千円の部屋

 

アルバイトだけの生活からバレエダンサーを目指し、シティバレエ団へ通い始め、バレエ団に入団してからも住んでいましたが、先輩ダンサーからは「4畳半の踊りになるから早く広いところに出なさい」といつも言われていました

 

椎名誠さんの「哀愁の町に霧が降るのだ」に出てくる椎名さん達が住んでいたアパートそのものの、日当たりゼロで今にも妖怪が出そうなその部屋が僕は大好きだったのですが、住む場所が変わり数年

 

久しぶりに立ち寄ってみるとそこにはもうアパートはなく、自動車が2台止まればいっぱいになってしまうような小さな小さな駐車場に変わっていました

 

「あぁ、ここに僕のすべてが詰まっていたんだなぁ」と、その小さな駐車場の車が止まっていない僕の部屋の跡地ともいうべき車の停車位置を示す白い枠の中で一人侘しく缶コーヒーを飲みました

 

今でも心の中には、あの狭い廊下に外れる木の扉、小学校の水のみ場のと同じ洗面所にねずみ色の壁、そしてそこから覗く、細く小さく刻まれた青い空が焼きついています